ブラウザを開き、動画サイトにアクセスする。人気の動画を開く。動画プレイヤのなかで投稿者が身体を張る。鼻からパスタを食べ、辛味が足りないとタバスコを鼻に流しこむ。プレイヤ画面を大量のコメントが横断する。ブラウザの端に表示されている投げ銭サービスにチャリンチャリンされてゆく。ある意味では現金に身体を張っている。サイトの機能でコメントをつけたもの、ネットワークから抽出した感想をテキスト化したもの、ユーザ情報からの統計をテキスト化したもの、などなど。ぼんやり動画をながめていると、文字から音声が聞こえだす。コメントを読み上げたものから、コメント同士が合成された音声などが投稿者の声をかき消す。映像からホワイトソースのとろみが口に広がる。120fpsの動きから温度が伝わる。コメントに変化。動画から伝わる五感に戸惑う声が書きこまれる。静的な動画への参加/投稿者への影響/動画=投稿者との一体感に歓喜している。影響は双方向となる/投稿者が頭を抱え床を転がり始める——生放送へと変化する。「誰か止めてくれ!」投稿者がわめく。コメントが増大してゆく。のたうちまわるほどに、投げ銭がチャリンチャリン加速してゆくのに投稿者が気づく。投稿者は悲鳴を上げ続ける。止めろとは一言も言わなくなっている。チャリンチャリンが加速してゆく。