市役所のスピーカーから聖歌が流れてくる。わたしは書類に記入する手を止めて聖歌を歌う。聞いたこともない言語であり、歌詞の意味はなにもわからない。けれど神聖であることだけはわかる。こうして申請する場所なだけに。30点という声がスピーカーから聞こえる。天上からおもちゃのハンマーが落下し、わたしの頭をぴこっと叩く。どうやらわたしの冗句が、神聖なる存在はお気に召さなかったらしい。周囲の人間もうなずいている。気恥ずかしくなったわたしは、手早く書類記入を済ませ、窓口に提出する。役人は記入漏れがあることを指摘し、それから小声でわたしはささやいてくる。わたしは面白かったですよ。