すべてを先回りされてしまうようになる。ほんのわずかな思考、身じろぎすると、空間や頭のなかにウインドウが表示され、最適な行動や思考について示唆される。示唆するの何者なのか、あるいはなんなのか。近年ではAIによるメッセージングが高度化しており、人間の脳を電子化したことによる通信なのかと疑われる。けれどネットワーク遮断した部屋でも、変わらずに示唆を受ける。人里から隔離した環境にある宗教者も同じ事をいい、神の啓示だと表現する。どちらも精神病の一形態なのかとも疑われる。けれどすべての人類に示唆が行われるようになる。人類は示唆を怖れる。思考も行動も躊躇してしまう。誰もがなにもかもが静止する。それでも示唆はとどまることなくやってくる。動きなさい、示唆をしますので。