「子供って想像以上にできないね」「難しいね」お追従する。地面にはタンパク質基礎のオブジェクト、ケイ素からなるオブジェクトが散乱している。生物にこぎつけられなかったものの残骸だ。「どうしてできなかったのだろう」「研究が必要だね」「今のところ手当たり次第にやってみた程度だから、方向付けが必要だと思う」「ふむん」彼女は変な声を出す。その場をぐるぐる回る。「でも、どうしてわたしたちがいるのかな」「根本的だね」「でしょう? で、どう思う?」「僕はいきなりだったからなぁ」「というと?」「気がついたら街中で立っていた」「どうして?」首を振る。「僕は最初から僕だった。途中がないんだ」「ふむん」「なにそれ」「複数の疑問が発生したけれど、どこから問いを発したものか、の意」「貴女はどうしているの?」「わたしもいきなりだった」「なぁんだ」「なにそれ、興味なさそう」「ひとりくらい最初があってもいいのにって」「気持ちはわかるよ。わたしもわたしのことを知りたい」「しかしわからない」「うーん」僕もうなる。どこから考えたものか。なにを考えたものか。考えるべきものがそもそもあるのか。首をかしげる。僕と彼女はその場をうろつく。それからうーんとうなる。