街。人は見えない。遠くから銃声。音声解析/数十年前に開発終了した突撃銃。僕は言う。「コンビニ、開いているかな」「ありはすると思う」「だろうね」「それよりも、危なくない?」「失って惜しい命でもないよ」「わたしの、あと君の命だけは例外なの」「……僕も例外にする」歩く。見回す。歩行者はない。銃声。信号待ちをする。道路を8足歩行の動体が無音で走る。時速100キロは出ている。動体が静止する。カメラが僕たちをとらえる。僕はカメラのメカニズムに侵入する。コードを解析、僕たちが敵性判定されつつあることを知る。動体の通信モジュールに移動/侵入/動体を制御するマイクロサービスに自己を転送/転送先を電子的に破壊して戻ってくる/カメラへ打ちこんだ通信信号を伝って僕の身体に僕を戻す。動体のあちこちから煙が出る。「動かなくなった?」「コンビニを探そう」「まだ食べられるものが残っているかな?」「ここらに食べる人間はいないから、略奪はないと見ていい」僕は歩き出す。「むつかしいね」彼女が僕の腕に抱きついてくる。